観経曼荼羅

 観経曼荼羅は、観無量寿経に説かれる極楽浄土の様子を描いた変相図と呼ばれる絵像です。大化の改新の中心人物である藤原鎌足の玄孫の中将姫が當麻寺で一晩で織り上げたと言われる當麻曼荼羅が有名です。この當麻曼荼羅は當麻寺の本尊ともなっています。

 さて、観無量寿経と言うと、どうしようも無い人間でも阿弥陀仏の名を唱えるだけで救われるという部分が注目されがちですが、経典の大部分は極楽浄土を瞑想で体感するための手引き書です。観経曼荼羅は極楽浄土のヴィジョンを絵画化したもので瞑想の補助として役立つものなのです。

 では、極楽浄土を観じる瞑想にはいかなる効果があるのかというと、観無量寿経によれば仏は衆生の心に入り込んでいるから、その様子を念ずる時にその心がそのまま仏になるとされています。また、この瞑想は自分の脳でVRを構築するようなものであり恐ろしく集中力を要します。この極度の精神集中の結果として得られる禅定もあるかと思われます。

 観無量寿経に説かれ観経曼荼羅に描かれた情景も、その元は昔の修行者が瞑想中に得たヴィジョンなはずであり、観経曼荼羅を見ると営々とつながってきた仏教の歴史を感じずにはいられません。







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