五蓋
煩悩の中で最も有名なのは怒り、貪り、愚かさのいわゆる三毒です。こうした煩悩が全ての苦しみの原因だとして、原因を立つことで苦を滅しようとするのが仏教の実践の基本的な指針です。
この実践の過程で精神の集中は避けられない重要な行となります。瞑想だったり座禅だったり念仏だったり題目だったりしますが、大体の仏教宗派では何らかの精神の集中を要する修行があります。その精神集中の妨げとなる心の覆いとなる煩悩を五つに分類して五蓋と名付けられています。
五蓋は、貪欲、瞋恚、惛沈睡眠、掉挙悪作、疑、の五つです。貪欲は貪り、瞋恚は怒りのことで三毒のうち二つと同じです。何かに対してイライラしていたり、貪りの心があっては精神の集中は出来ません。さて、惛沈睡眠の惛は愚かさとかぼんやりする様を意味しその状態に沈むのですから気分の落ち込みややる気の無さを意味し、その状態で起きる眠気とまとめています。掉挙悪作は逆にあちこちに気が散って落ち着かない様です。精神集中にも中道の精神が大切なのです。最後の疑はそのまま疑いのことですが、疑いを取るといっても何でもかんでも盲信すれば良いという訳ではありません。精神を集中させている時に、こんな方法じゃダメだとか、そもそも精神を集中させて何になるとかいう、批判や疑念が浮かんで集中出来ないのが問題なのです。そういう検討や新たな工夫は別の機会にすればよいのであり、集中するべき時は集中するべきなのです。
五蓋が取れていないと十分に精神を集中することが出来ませんので仏道修行も進まないということになります。でもまあ過労で心が疲れて眠い時は寝た方が体にも心にもいいですよ。これらの五蓋は心身の調子を整えていれば随分と除きやすくなります。まずは健康管理が第一です。苦行している俺ってカッコいいなどという発想は身を滅ぼします。
コメント
コメントを投稿