SDGsは単なる理想論では無い

 SDGsは2015年に国連で採決された2030年に向けた持続可能な開発目標の事で、環境や人権に留意し貧困防ぎ保健福祉を推進し持続可能な成長を目指すものです。

 SDGsは自由と民主主義の恩恵を受けるリベラル層の理想を結実させたような正論であり、一部には非現実的な理想論だとかの批判も見られます。

 しかし、少なくとも自由主義諸国においてこのSDGsを無視した経済活動は理想に反するからのみならず実利の面でも有害だと言えます。

 そもそも、SDGsが果たして本当にリベラルの夢が詰まった単なる理想論かと言うと怪しいものです。発展途上国が国内の人権を強力に規制したり環境を破壊することでも利潤あげている現状に対して、人権・環境意識が比較的発達している欧米先進各国がまったをかけるための圧力として利用されている向きもあります。もちろん人権意識や環境保護の精神があまねく世界に広がる分には何も問題は無いのですが、こうした理想を遵守した場合に既に経済や学問の素地が整っている先進国に対し発展途上国が短期的に勝つのは困難なのも現実であり、結果として欧米が政治的に優位な立場を保てます。

 さて、SDGsには理想論以外にも欧米の権益を守る側面もあるとなると、SDGsを守らない企業や国は欧米の経済的な仲間から外されることを覚悟しなければなりません。地球環境に優しくなかったり人権を蹂躙して利益を貪る企業や国は相応の損失を被ることになります。

 しかし、そういう側面があったとしても人権が守られる世界になるのは良いことです。SDGsを守らないブラックな企業の従業員に好んでなりたがる人はおらず、SDGsを守らない国の国民は亡命や移民をする人が多いのです。

 残念な事に、このところ日本の企業や国のエライ人がSDGsの理念を無視した発言をして問題となることが多いですが、国民や従業員にも被害が及ぶので謹んでもらいたいところです。2020年のSDGs達成度ランキングで日本は17位と世界水準からするとマシな部類には入るものの、日本にも外国人技能実習生制度という極悪な奴隷貿易システムがあり、大学入試や給与面で著しい男女差別が横行しており油断は出来ません。なお、ランキング16位以上は全て欧州の国かイギリス連邦所属の国で要は白人国家です。

 なにはともあれ、個人的にはSDGs達成のための努力はするべきだと思いますし、SDGsを軽視するエライ人にはその危険性を理解して欲しいと思います。

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