つながらない権利

 つながらない権利とは勤務時間外の職場からの電話対応などを断る権利のことだ。医師と僧侶と軍人には縁遠い権利でありうらやましい限りだ。しかし、これはなるべく多くの職種で守って欲しい。

 考えても見てほしい、24時間365日プライベートの時間が無い状況を。常に電話がなることを想定して行動するのはかなりのストレスだ。疲弊を防ぐために当番制にしても、そもそも部署の人数が少なければ人数分の1日は、例えば3人なら3日に1回、24時間連続で仕事をすることとなり、しかも当直ではないから翌日も連結で仕事となる。労基的には問題だろうが大体の企業では超勤も出ていないだろう。しかも、当番制になっていても結局なんだかんだと言って電話は非番の人間にもかかってくるのだ。さらに災害時に連絡がつくようにとの口実で個人のスマホにトラッキングアプリを仕込む企業もある。日常の全てを監視され支配されサービス労働をさせられる会社に勤務しつつのおだやかな日常生活なんて夢のまた夢だ。

 ほぼ全ての時間を費やして働くがゆえに家庭にいる時間は少なく、家族からは他人扱いされる。そもそも家庭を築くことから不可能である場合も多く、もはや労働マシーンだ。しかも、給与は安い。これでは過労死や少子化やうつ病が増えても当然と言える。

 こうした労働者の権利をしっかり守る企業にはきっといい人材が集まり収益を上げることだろう。まるで奴隷のような状態の労働者から吸い上げたお金を経営陣がひたすら溜め込むだけでは、いずれ大きな衝突が起きる。経営者は足るを知るべきだと思う。

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