宮型霊柩車
日本ではすっかり見かけることが減った宮型霊柩車だが、東南アジアやモンゴルなど他の仏教国へ輸出されている例もある。東南アジアの上座部仏教もモンゴルのチベット密教も日本とは寺の形が違うはずだがちゃんと仏教の車両として認識されているのは興味深い。
日本で宮型霊柩車の利用が減った原因は、目立たない様にしたいとの消費者側のニーズの低下が原因とも言われているが他にも要因はありそうだ。小生が子供の頃は霊柩車を見たら親指を隠さないと呪われるというような迷信がまだあった時代で、葬式も自宅で行うのが普通だったし、今の日本人の大半は病院で死ぬが昔は自宅で死ぬ人の方が多かった。
つまり、今の霊柩車は病院から斎場そして火葬場へのご遺体の輸送が主任務だが、ド派手な宮型霊柩車の主な役割は葬儀後に故人が住み慣れた家を離れ冥土への旅に出るのを隣近所の人から見守られながら盛大に葬送することであり、そのための特殊車両であったとも言える。要は時代とともに活躍の場が減ってきたのだ。今後、自宅でのお看取りは増えると思われるが、隣近所の人が寄り集まって自宅で葬儀を行う風習はもう戻ってこないだろうから、宮型霊柩車が再び増える事も無いかと思う。
また、宮型霊柩車は維持費がかなりかかるようで、企業側としても少ない需要に対して多くの特殊車両を保持し続けるのは難しいのだろう。
最近ではミャンマーの軍事政権に殺害された市民の葬列の報道でも宮型霊柩車を見かけた。やはり宮型霊柩車の役割は国が変わってもご遺体の輸送ではなく葬送の儀式なのだろう。
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