市民的不服従
ミャンマーでのデモ活動でCDMと書かれたプラカードをよく目にしますが、これは"Civil Disobedience Movement"の略で、市民的不服従運動という意味です。市民的不服従とは、良心と照らし合わせて法律の方が間違っている場合に意図的に公然と非暴力的手段で国権に服従しないことを言います。今回の軍事クーデターにより、市民の再民主化を求める動きはミャンマーの国としては違法行為となりましたが、武器を持たない多くの市民がこれに立ち向かっているのです。この市民的不服従を国民運動にしようとしているのが今ミャンマーで言われているCDMであり、世代の古い人にわかりやすく言うとゼネストの呼びかけのようなものです。
組織化されて近代兵器を用いる国軍に対して市民が武装蜂起したところで皆殺しにされるのがオチであり、なかなか冷静な判断だと言えます。ビルマ人は上座部仏教の信者が多いので不殺生戒の影響もあるのかも知れません。
ミャンマーの前政権と停戦合意に至ったカレン民族同盟も市民らのCDMを支持しています。彼らの認識としてはCDMは武器を用いない戦いなのでしょう。なお、日本の公安調査庁はカレン民族同盟を国際テロ組織と認定しますが、ミャンマー国軍はテロ組織とはみなしていません。日本の右翼にもミャンマー国軍を批判すれば中国になびかれるから国軍を支持するべきだなどという輩もおりますが、倫理的にも政治的にもミャンマー国軍の支持などありえません。
また、異民族相手なら慈悲の欠片もなく虐殺を行うミャンマー国軍でも、ビルマ人同朋に対してはいささか良心も痛むのでしょう。異民族と比較して明らかにその攻撃の手はゆるいものです。これはミャンマー国軍に蔓延するレイシズムの表れとも言えます。
あと、ミャンマーは「上座部」仏教の国だから仕方ないのかも知れませんが、今回のクーデターに関して上座部仏教界の反応の鈍さには「大乗」仏教の日本人としてはいささか歯がゆい思いもします。日本上座部仏教修道会もこの時期でも語ることは自分たちの戒壇仏塔建設の話ばかりです。日本テーラワーダ仏教協会のスマナサーラ長老もミャンマーの軍事政権を批判し仏僧として布施を受けないなどの対応や平和的な抵抗は可能としつつも、制度としての軍政が悪いわけでも民主主義が良いわけでもなくこれはあくまでもミャンマー人の問題であるとして強い表現は避けています。日本の諸宗派も上座部仏教の頭越しに批判もしにくいのでしょうが、仏教徒として公式にミャンマー国軍に対して何か言ってやるべきです。ちなみにローマ教皇は国際社会にミャンマー国民の側に立つように呼びかけています。https://twitter.com/Pontifex/status/1367107900297142278
情けない。
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