現代中国の仏教

 漢土の仏教といえば南北朝、隋、唐、宋、明の時代には日本仏教に多大な影響を与えてきました。その後の時代はやや衰退していくのですが、かの地に中国が成立して以降も仏教は残っています。しかし、もちろん現代の中国の仏教は共産党の管理下にあるため、特色あるものとなっています。

 中国仏教協会という仏教を共産党の管理下におくための組織がありますが、その初代名誉会長はなんとダライ・ラマ14世です。当時は中国によるチベット侵略の直後であり政治的な思惑も多かったのだと思われます。とはいえ中国仏教の主流はチベット密教ではなく、禅や浄土思想です。

 さて、そんな中国仏教協会ですが、人間仏教なる独特な思想があります。それは、仏教は中国人民の服務に積極的に協力することにより現世で人々に利益をもたらすべきとするものであり「荘厳国土 利楽有情」とも言われています。別にインフラの整備などに協力いただく分には何の問題も無いのですが、独裁国にあっては危険な感もあります。実際に、大多数の人民を救うために一部の悪魔(反体制派)を殺すのは仏の慈悲であるとまで説かれる事もありました。文化大革命を生き残った集団は一味違います。

 日本だと黄檗宗が中国仏教との関係が強いので、信仰面で興味がある人は参拝してみてもいいかも知れません。お経も独特の節回しで面白いです。

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