花見

  短期間に咲いて散っていく桜は世の無常を思わせる日本人の心の花です。桜に無常を見て哀れを感じるのは仏教者的視点かもしれませんが、仏教が日本に広まる以前から桜は日本人に大切にされており、冬の間は山にこもっている田の神さまが春になって里に降りて桜の木に宿るとされてもいました。現代に伝わる花見は平安時代に春の訪れを祝う貴族達の風習にはじまり、徐々に武家などにも広がっていき、一般庶民にも広がったのは江戸時代と言われます。江戸時代の頃は、満開の時期より桜が散る時期の姿が愛でられていたとも言います。

 現代のお花見の桜はほとんどがソメイヨシノですが、これは江戸時代の後期に開発され明治時代に日本中に広がったものです。それまではヤマザクラが観賞用の桜の主流でした。しかし、単に山に咲いている桜のことを品種とは別に山桜と呼ぶこともあります。桜にも様々な品種があるので色々見て回るのも春の楽しみの一つです。ちなみに小生の職場の近所には一本だけ御衣黄があります。咲くのは来月後半になるでしょうが皆が桜を忘れた頃にこっそり咲く緑色の桜はなにやら奥ゆかしさを感じます。

 今年もコロナの影響で盛大なお花見は無いでしょうが、酔漢が暴れ大騒ぎするようなことも少なくなるので、心静かに花を愛でることが出来そうです。とは言えやはり、早くコロナ禍がおさまり普通にお花見出来るようになってほしいものです。

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