令和三年、春の彼岸最終日
春の仏教強化週間お彼岸の七日目、最終日です。六波羅蜜をお彼岸の各日にあてる風習では本日は智慧の日です。
これまで、布施と持戒の利他行をし、忍辱と精進に励むことで自身を整えた結果、欲望や自分へのこだわりを減らして禅定で精神の安定を得ました。この状態で得られる智慧とは世界を分別せずありのままに観ることとされます。今風にいうとあらゆるバイアスを離れた状態です。実際にあらゆる偏見から逃れることが出来る人は殆どいないでしょうが、より中立に近いところを目指すことはできます。その状態で人生を見ると世界は網の目のような縁の連なりで不変の我というものはありません。実在しない我にこだわることで生じる煩悩から苦しむ人々の姿も見えます。
さて、瞑想してこの世界の有様を見るのは重要ですが、より重要なのはその後の実生活です。はじめは嫌々ながらしていた布施や持戒も、そのような世界の見方を経たあとに行うと違ったものとなります。忍辱も精進も同じです。日々の生活を送りつつ禅定や智慧も出来るように徐々にしていくのが六波羅蜜です。大乗仏教では在家の日常生活とともに道があるのです。油断すれば煩悩に満ち溢れてしまうのが人間ですが、お彼岸などの機会に意識して六波羅蜜を実践してみるとよいでしょう。
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