令和三年、春の彼岸六日目

 春の仏教強化週間お彼岸の六日目です。六波羅蜜をお彼岸の各日にあてる風習では本日は禅定の日です。

 仏教の修行を三つの要素にまとめると、悪いことをしないルールである戒と、心を落ち着かせ集中する定と、真理を悟る慧の三学にまとめられるとされます。禅定は三学の定にあたります。

 三学では、戒で体を整え、定で心を落ち着かせ、これらを統合して慧を獲得し、慧があるから戒も定も安定するという循環が起きます。浄土教系の仏教では人間は三学を修めることが出来ない劣った存在だとして称名念仏を勧めていますが、彼らはその結果として、自分の至らぬところに慚愧し、念仏で心を落ち着かせ精神を統一し、その結果として弥陀の救いに感謝し仏性に気づくのですから、傍から見たら三学を修めているに等しい気もします。

 さて、日本の仏教でいう禅定とは、禅宗系の座禅であり、天台宗系の止観であり、密教や唯識の瑜伽行などです。日頃、座禅などする機会がない人でも、たまにはご自身の宗派のものを試してみると良いでしょう。禅のような修行が無い宗派ではお題目やお念仏でOKです。浄土真宗では自力の修行全般を否定していますが、他力のお念仏をした時に心が落ち着いて集中出来たとしても自力の修行にはなりますまい。経過はどうあれ心が落ち着いて集中した状態では新たな発見があることでしょう。

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