Mr.ポテトヘッド
映画トイ・ストーリーでも有名な玩具「Mr.ポテトヘッド」が性的中立性を守る為に名前からMrを外す事になったそうだ。姉妹品のMrs.ポテトヘッドもおそらく同様の扱いとなるだろう。
昨今ではジェンダーという言葉は社会的・文化的に制定された性とされることが多いが、元々は生物学的な性別も意味する。混ぜると話が混乱するので今回はジェンダーの定義を前者のものとする。リベラル的な思想では社会的な性差はあってはならないものとされるので、今回のMr外し問題も、このジェンダー・ニュートラルの思想を表したものだと言え、実際に販売元のハズブロもそのように言っている。
科学技術の発展に伴い生物学的な性差によるジェンダーの役割分担は昔ほどの意味を持たなくなっているのは事実であり、ジェンダーによる不平等感をなるべくなくそうというのは同意できる。
しかし、だ。80年来の歴史をもつある意味伝統的な玩具で、多くのアメリカ人の思い出の中に確固たる地位を築いているMr.ポテトヘッドからMr.の敬称を奪い取ることがジェンダー・ニュートラルなのかと言われれば疑問がある。
確かに、ジェンダー問題対策として敬称のMr.やMrs.やMiss.を廃してMs.に統一しようとする動きもあるし、HeやSheが性差別的だとして三人称は単数でもTheyを使おうとする運動もある。これを是とするならばMr.ポテトヘッドからMr.を奪うのは正しいことだ。だが、果たして生物学的な性差に対してつける敬称や代名詞はジェンダー問題なのだろうか?性同一性障害の人だっているだからと言う意見もあるけれど、何か新たに代名詞や敬称を作った方が早くないだろうか?
日本でもファミリーマートのお惣菜商品である「お母さん食堂」がジェンダー差別を助長するとして叩かれた事があった。これは、専業主婦が女性の自立を阻害する極悪な奴隷制度だとして叩く風潮から出たものかも知れない。専業主婦には経済的な自立が無く隷属的な立場になりがちだという指摘はその通りではあるが、専業主婦ないし専業主夫がいてうまく行っているご家庭も多いわけでシステムとして絶対悪だとするのは同意しかねる。特に仕事が尋常でなく多忙な人には、配偶者は専業主婦なり主夫であって欲しいとする考えがあっても道義的な問題があるとは思えない。もちろん、夫婦ともものすごく多忙な共働きをしてお金を稼いで家事や子育ては外注するという手もあるが、多少収入が減っても子育てくらいは自分の手でしたいと思う親の方が多いだろう。経済的な自立や自由はもちろん大切なことだが、家族とは金だけの連帯では無いはずだ。
Mr.&Mrs.ポテトヘッドの家族とそれで遊ぶ子どもたちが今後も幸せであるように祈る。
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