普賢菩薩と遊女
昨日が法華経普賢菩薩勧発品の話だったので引き続き普賢菩薩のお話をします。普賢菩薩は法華経の行者を守る以外に十羅刹女を眷属として従えるとも言われ、女性の成仏を説く法華経の性格もあってか女性からの信仰もあつい菩薩でした。
女性の中でも大変に過酷な環境にあった遊女にまつわる逸話もあります。白象に乗る遊女の日本画を見たことがある人も多いかと思いますが、この構図は遊女を普賢菩薩に見立てた能の江口の話を描いたものが多いです。
能の江口の更に元ネタとなった話は鎌倉時代から伝わるもので、天台宗の性空上人が遊女の長が普賢菩薩の化身であることを見破り、遊女は口外しないようにと言ってそのまま急死してしまうという物です。能の江口は話としてよくまとまっていますが、元ネタとなったこの話は幕切れが唐突で面白い作り話として練られた形跡もなく、遊女が菩薩の化身か否かは別として何らかの実話が脚色されたものかも知れません。歴史的に見て遊女は劣悪な労働環境に苦しむ人の代名詞みたいな存在です。彼女らの成仏を願う人々の心がこういう話を生んだような気もします。
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