バレンタインデー

 2月14日はバレンタインデーです。日本では例年チョコレートの売上が上がるシーズンでもありますが、コロナ禍もあり売上も冷え込んでいる様です。

 キリスト教では愛で結ばれ神から祝福を受けた男女は家庭を築きますが、それは神から与えられた使命でもあり神聖なものとされます。バレンタインデーの元ネタとなった聖ウァレンティヌスもローマ皇帝から禁止されていた兵士の結婚式を執り行ったため処刑されたという伝説もあります。

 一方で、我らが仏教では妻子に対する愛情すら究極的には執着に過ぎないわけで、色恋は蔑視される傾向が強く、仏式の結婚式が出来たのも明治になってからです。仏式結婚式は明治時代に日蓮宗の在家集団から始まったとされます。そう言われてみれば、代表的な日本仏教の諸宗派の始祖の言動でも日蓮上人の夫婦に関する物は多いように思えます。日蓮上人には以下のような話もあります。

 あるとき、亡き母の回向の為に病身の妻をおいて日蓮上人のいる身延山に参った信者がいましたが、日蓮上人は供養の品の礼状を留守を守る信者の妻にしたため、信者がこうして参拝できたのも妻のおかげだとか、亡くなった信者の母を懸命に看病してくれたことを信者が感謝しているなどと伝え、矢が飛ぶのは弓の力で、雲が流れるのは龍の力で、夫が働けるのは妻のおかげだと言って労をねぎらっています。

 また、命を狙われていた別の信者に夜の酒宴に出来かけるのを禁じて、自分の妻と酒を酌み交わすのに何の不満があるのか?とたしなめたりもしています。

 また、別の女性信者に宛てた手紙でも、夫婦とは柱と桁、体と足、羽と身のようなもので仲良く協力することが大事だと説いています。

 日蓮上人はかなり筆まめであり、在家信者への手紙も多く残されています。法華経が男女平等を訴えていることもあり、家庭に関するものも多いのかも知れません。

 ともあれ、仏教徒でもバレンタインデーを口実に配偶者に感謝して構いますまい。皆様、よい一日を。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号