ミャンマー
高齢の人間にはビルマと言った方が通りが良いでしょうが、ビルマことミャンマーでまたクーデターが起きしました。
中国の世界戦略から見た時に、ミャンマーとパキスタンは対インドの重要な戦略拠点であり、ミャンマーが軍政に戻れば中国のさらなる浸透は避けがたいでしょう。
ミャンマー国内でも部族間の闘争再燃やロヒンギャ問題の解決が遅れるなどの悪影響が懸念されます。
そもそも、スーチー女史も上手く政治をコントロール出来ていたとは言い難いですが、軍政よりはマシな感はあったかと思います。
ミャンマーは仏教国ですが、特にロヒンギャ問題に関しては慈悲のかけらも見られず、上座部仏教の一部の僧侶が虐殺を煽動してもいました。
仏教者としても他人事ではありませんが日本はミャンマーの元宗主国でもあり、一定の責任はもつべきでしょう。ミャンマーはイギリスの植民地であったところを第二次世界大戦時に日本が大東亜解放の名目で占領して、のちに帝国陸軍最悪の敗北となるインパール作戦の舞台ともなった土地です。未だに回収されない邦人兵士の遺骨も多く眠っています。無視して良いはずがありません。
イギリスやフランスなど、第二次世界大戦前に広大な植民地経営をしていた列強国は、その後も旧植民地に強い影響力を残しています。これは、新たな搾取体制である側面はあるものの、旧植民地の発展にいくらかの責任を負っているとも言えます。最近では中国の人権蹂躙から香港市民を救おうとした英国の動きは、旧植民地民への責任を果たしたものです。その点、大日本帝国の旧植民地に対しての日本政府の姿勢は戦時の大義名分を考えると冷淡だと言わざるを得ません。こう言うと旧軍は欧米列強の植民地を解放したのであり、日本は植民地経営をしていないとする反論はしばしば聞かれますが、結局のところ戦中の日本の勢力圏においては満洲と汪兆銘政権とタイ王国以外は名目上でも独立した国は無く(※)、もし将来的に独立させる計画があったとしても一般論的にミャンマーが日本の植民地では無かったとするのは無理があると思われます。
戦後、日本の教育では植民地は悪とだけ教えています。それ自体は大きくは間違っていないのですが、植民地が独立したらハイおしまいではいけないのです。長年、各国の植民地支配を受けていた地域の人間は、当然ながら自国民が国を治めた経験に著しく欠いています。植民地化される前に政治を行っていた経験者がいない地域ではゼロからの出発となります。戦後、独立した諸国の多くが未だに混乱していたり独裁国が多いのはある意味で当然なのです。
日本はミャンマーに対してもう少し関心を持つべきだと思います。
※南モンゴルは汪兆銘政権の自治区の扱いで独立させなかったが故に今の悲劇的状況があるとも言える。直接的には中国が悪いのだが、そもそも論では日本の失敗だと思う。
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