陰謀論は表現の自由に該当せず
今、世界中で陰謀論を原因とした多くの不和や悲劇が生まれている。
陰謀論とは捏造された種々の証拠を用いて特定の人物、民族、組織などを悪だと多くの人々に信じさせ、それらに対する攻撃を煽るヘイトクライムだ。陰謀論を信じ込まされた人の大半は、許せない巨悪に正義の怒りをもって立ち向かっている訳だが、実際には無根拠に無実の人達を攻撃していることになる。また、陰謀論の信奉者は新たな信奉者を増やそうとしネズミ講的に被害は拡大していく。彼らに攻撃を受ける側は当然被害者だが、攻撃する彼らは加害者であると同時に被害者でもあるという複雑な構造をしている。
第二次世界大戦中にもユダヤ人を標的とした荒唐無稽な陰謀論の為に600万人もの犠牲者が出たのは有名な話だ。その後も、種々の陰謀論は存在し続けたが何十年もそれは一部のオカルトマニアが熱く語る程度のものだった。
しかし、情報通信技術の発達により事態は一変する。多くの人が一次情報を直接発信できるようになると、それまでのマスコミのバイアスに満ちた欺瞞が次々と明らかとなり、既存メディアの信頼は地に堕ちた。変わってネットの情報がより重視されるようになってきたが、ネットに氾濫する情報の大半もまたバイアスと欺瞞に満ちた物だった。その中の極端な意見を鵜呑みにした人達が、それぞれの立場で自分たちの真実のみを信奉して社会に戦いを挑んだ結果、社会の分断はかつて無いほどに広がっている。
昨今、言論の自由が保証された自由主義諸国において、表現や言論の自由を一番声高に叫んでいるのは実はヘイト団体であるのは笑えない冗談だ。彼らは、彼らが悪と信じる民族や組織を罵倒し侮辱し脅迫し時には暴行するのも表現の自由と呼ぶのだ。
また、これに同調し一部の文化人なども、社会には間違った意見に反論する自由もあるのだから、こうしたヘイトや陰謀論も表現の自由として保護すべきだという社会性が欠如した意見が出ることもある。陰謀論は個人の思考の外に出て、言語なり行動なりで表現された時点で無実の他者に対する侮辱や脅迫や暴行であり、犯罪行為だ。表現の自由に該当して良いはずがない。
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