民主主義の勝利

 アメリカのバイデン大統領の就任式の演説にあった民主主義の勝利だという発言に対し、一部の右翼から自分が勝てば民主主義の勝利で相手が勝てば民主主義では無いとでもいうのかという、明らかに演説を聞かず言葉尻だけを捉えたトンチンカンな批判が出ています。

 とりあえず東京新聞の就任演説和訳のリンクを貼っておきますので演説を聞いていない人は確認してみてください。https://www.tokyo-np.co.jp/article/81092

 演説にある民主主義の勝利とは、民主的な投票の結果を暴力により捻じ曲げようとした過激派に対する勝利な訳です。この事は候補者ではなく民主主義の大義の勝利であると言っていることからも明らかです。

 この期に及んでもトランプ氏の勝利を訴える陰謀論者はおり、彼らによるとバイデン大統領の勝利は民主主義の敗北だそうですが、バイデン大統領は正規の手続きで勝利を収めています。司法上も選挙結果を覆すような大きな不正は無かったと判断されており、法と秩序の支配による民主主義的手続きが個々人の妄想による暴力に負けず完遂された事は、民主主義の勝利と以外言いようがありません。

 また、日本の右翼もトランプ政権が日本の国益にかない、バイデン政権になったらおしまいだとしきりに喧伝しています。これはオバマ元大統領がその政権時に中国の軍事的拡張を黙認したことを念頭にした意見かと思います。しかし、トランプ前大統領とバイデン大統領のどちらの政権が日本と世界にとって良いかは、是々非々です。

 トランプ政権末期は、トランプ氏にその意図が仮に無かったとしても過激派を煽り結果として死者まで出るようなクーデターまがいの暴力事件が起きたのでアメリカ国民から糾弾されるのは仕方のないことです。ただ一方で、トランプ前大統領はこれまで見捨てられてきたチベットやウイグルや南モンゴルの人達を支援する行動を世界の有力な政治家の中で初めて実施しました。絶望に打ちひしがれていた彼らにトランプ氏は希望の星に見えたはずです。また、イランやパレスチナやイエメンなどの人々は反対するでしょうが、アメリカの働きかけで多くの中東諸国とイスラエルの和平が実現したことは一応トランプ前大統領の功績といっても良いでしょう。さらに、少なくともコロナ前まではアメリカの経済も比較的順調に行っていたと言えます。他方、地球温暖化を否定するような非科学的な盲信で政治を動かしたのは地球環境にとって危険な事でもありました。バイデン新大統領がこうした問題をどのように引き継ぐのかは気になりますが、バイデン大統領は別に日本に軍事侵攻して滅ぼすとか言っている訳でもなく、中国と世界を二分すると言っている訳でもありません。右翼の人達が何をもってバイデン政権になったら日本と世界が終了だと言っているのか分かりません。何にしても日本は日本の意見を言えば良いのであり日本の国益を考えるのなら、右翼のように世界最強国家アメリカの大統領に喧嘩を売るなど言語道断です。また、仮にバイデン大統領に右翼が主張するような疑惑があるとするならば、司法の判断を仰ぐべきであり、証拠もなく自分らがそう思うからと暴力に訴えるのは間違いです。

 ともあれ、右翼から文句を言われても、無事にバイデン大統領が誕生したことは民主主義の勝利といって間違いないと思います。

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