Uber地蔵

 コロナ禍の影響で過剰に供給されたウーバーなどの配達員が配送まちで路上にたむろしている状態を地蔵と呼ぶらしい。路上でタバコをすったり通行人の邪魔になったりと迷惑行為が問題視されている。

 こうした社会問題は労働者を叩けば済む話では無く雇用体系の構造的な問題だ。これら配達員は正社員やアルバイトではなく個人事業主であり、会社側からの給与などは一切なく出来高払いであり社会保障も何もない。企業としては安価な使い捨ての労働力だ。この雇用条件で倫理的にふるまえる人間は立派だが、そうでない人間がいたとしても雇用する側が制限をかけていないのだから末端の配達員だけを叩くのもおかしな話だ。

 ちなみに被雇用者を個人事業主にしてしまえば、労働基準法の枠外でありいかなる長時間労働も低賃金も個人事業主の自己責任である。政府や大企業は労働者の個人事業主化の流れを推進しているが、これは労働者の奴隷化推進に他ならない。派遣業のピンハネも問題だったが、近年の日本の労働環境は悪化の一途をたどっており由々しき事態だ。

 また、本題には関係ないが手持ち無沙汰で周囲に迷惑となりやすい待機中の配達員を評して地蔵という名が与えられ社会的に通用してしまっているのは、お地蔵さまに対して敬意をもつ人間がもう少数派になっていることを物語っており、これも悲しい事だ。

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