世界人権デー

 12月10日は世界人権デーです。1948年12月10日に国連から世界人権宣言が出されたのを祝い1950年より国際的な記念日となっています。

 こうした経緯もあり、世界人権宣言は現代の人権思想のスタンダードとも言ってよい内容です。ただし、細かいところを見ていくと、第16条は結婚は男女間のものであることが前提として書かれている様にもみえ(違うようにも解釈は可能)、発表から70年以上も経つと時代ともに変化する人権の潮流との乖離も散見されます。

 他にも問題点はあり、第15条では国籍を変更する権利も認めていますが、無制限に認めれば違う文化をもつ民族の大量移民により事実上の侵略も可能となります。第30条では条文の曲解による悪用を禁じてもいますが、もし大量移民による侵略が起きてもその意図をもった組織的行動であるかどうかの証明は難しでしょう。第17条では財産を保有する権利もあることになっていますが、共産主義国ではこの権利は認められていません。国民全員の共同財産という解釈で乗り切っているのでしょうが詭弁です。

 こうした問題もありますが、全人類は平等に人権をもっているという基本理念で現代の国際社会は動いており、それ自体は素晴らしい事です。しかし残念なことに、世の中には全人類に平等な人権を認めない勢力もいます。多くの人種差別主義者は、差別対象を自分たちと同じ人間だとは認めていません。彼らから見た相手は、彼らにとって人間とは認められないから人権も無いとする考え方です。先日、中国共産党の地方組織の幹部がウイグル人には人権が無いと断言していたのも同様な考え方だと言えます。アメリカのKKKのようなあからさまに怪しい団体だけでは無く、国家ぐるみで人権を蹂躙する独裁国は意外と多く、世界規模では人権はあまり守られていないのです。

 世界167の国と地域で民主主義的な国は75に過ぎず、半数以上の国が独裁的な状況にあります。さらに民主主義国であっても人権が十全に守られているとは言い難い国も多くあります。全人類に平等な人権というものは、極論すれば皆があると信じているからあるのであって、守らなければ容易に失われるものです。

 世界人権デーにあたり、人権を守る思いを新たにしたいと思います。

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