陰謀論を信じないために
アメリカ大統領選挙の影響でネット上は陰謀論が花盛りです。世界を牛耳る悪の秘密結社が不正に選挙をコントロールしているとかで、一般人からみればアホかと思うのですが、存外に信じている人が多いです。
人は自分が納得出来ない結果に直面すると、原因を自分や自分が所属するもの以外が卑怯な事をしたからだと考えがちです。そこに個別には事実であることや、あるいは全く捏造さたものを証拠として多数提示されれば信じてしまう人も出ます。
例えば、日本には巨大な動物虐待組織が暗躍しており動物たちが危険にされされているという陰謀論があったとします。もちろんそんな組織は無いのですが、動物愛護精神に富んで日頃から動物虐待のニュースに心を痛めている人に対して、ペットショップやブリーダーの動物虐待や動物の里親を騙る虐殺魔やネット掲示板にある動物虐待趣味の人らの酷い会話内容などの実際にあった話をして感情に働きかけ、なんとその犯人たちは大した処罰を受けていないという事実を怒りを以て力説し、動物をいくら虐待しても罰せられないと信じさせれば、だから国家ぐるみの陰謀組織があるんだという陰謀論を信じてしまう人もいるでしょう。
実際には動物を虐待すれば罰せられます。量刑が軽いのは法整備がマズいという問題であり、背後に日本の行政や司法に関する職員全てを押さえつけるほどの強力な闇の組織がある事を意味しません。この場合、存在しない動物死ね死ね団に決戦を挑むべく血眼になって探したり武装するのではなく、普通に政治家に陳情して法律改正を狙った方が良いのは明らかです。
仏教全般において極端を避けた中道的視点を保つよう勧められていますので、仏道に縁がある人は常々心を落ち着かせましょう。騙されにくくなります。また、同じく仏教の基本として滅すべき代表的な煩悩である怒りにも注目しましょう。陰謀論では極悪非道の組織の存在を、それに対する怒りを利用して強く信じさせようとします。義憤であっても怒りにとらわれればものすごく騙されやすくなります。
小生も用心して参りたいと思います。陰謀論の被害に遭う全ての人の無事を祈って合掌。
コメント
コメントを投稿