アメリカの感謝祭シーズン
今年は11月26日がアメリカの感謝祭(Thanksgiving day)でした。アメリカでは伝統的に、この11月第4木曜日からの4連休で家族や友人らが集まる日本のお盆的な雰囲気があるシーズンです。今年はコロナ禍で自粛となるかと思いきや全米で5千万人が移動するとのことで感染の拡大が懸念されています。
感謝祭は1620年にアメリカに移住した有名なピルグリム・ファーザーズが植民地で営農に失敗し飢饉に直面していたところを、ネイティブアメリカンのワンパノアグ族から支援を受け生き延び、翌1621年の収穫期にワンパノアグ族を招いて神に感謝する宴を催したのが始まりとされます。これが南北戦争後に家族や友人との絆を深める伝統に変容して現代に伝わっています。感謝祭を前に大統領が七面鳥の恩赦をするニュースも毎年あり日本でもよく知られていますが、これがコロナも気にせず国内大移動が起きるくらいの心情的に重要なイベントだとは今年始めて思い知っています。
一方で、感謝祭の起源となったネイティブアメリカンと入植者との間の友情物語は都合のいい話だけを切り貼りした捏造であり、最終的にはワンパノアグ族の9割以上が白人に殺戮されます。このため感謝祭に反対するネイティブアメリカンらの抗議活動が毎年行われています。アメリカ人にとっては家族や友人との絆を深める心温まるシーズンですが、その元となる昔話が嘘っぱちで白人入植者による虐殺と略奪の歴史を隠す欺瞞だとすれば素直に祝えません。もちろん400年も前の話であり、もしかしたら一瞬でも友情が成立していた可能性までは否定しませんが、仮にそうだとしても全体としてみれば極々レアケースなのは間違いありません。
ただ昨今、アメリカの建国期の英雄たちは軒並み悪逆非道の輩として社会的に断罪されています。現在の価値観から見ればそれは間違いないのですが、その罪を現代の白人に償わせるばかりでなく迫害までするのは、いわゆる構造的差別論を受け入れたとしても行き過ぎです。いつか彼らに和解と許しが訪れますように、そして、今すぐの話しとして今年は移動を自重してくれるように祈ります。
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