新型コロナウイルス感染症に対する経済優先政策を考える
個人的には反対ではあるが、新型コロナウイルス感染症に対して経済優先のノーガード戦法をすべきだという意見をもつ人はいる。違う考え方でも相手の心情は尊重するが、それは同時に高齢者を切り捨てる覚悟を持って言うべきだと思う。
よくノーガード戦法の実施国として引きあいに出されるスウェーデンだが、社会的な距離を取る努力はしているし、何よりも強力な対策として老人の切り捨てがあるのを忘れてはいけない。国が直接指示している訳ではないが、現場では高齢の感染者ははじめから集中治療室での治療は適応とならない。死亡するのも重症化するのもほとんどが持病持ちの老人なのだから、彼らを切り捨てて医療資源の消耗を抑えられれば医療崩壊も起きにくい。しかし、これだけやっても感染者は増加傾向だ。日本で経済優先を唱える人たちにこの覚悟はあるのか疑問だ。彼らの意見では、マスコミや医師会の陰謀で隠されているが実は日本人には元々コロナウイルスに耐性があるとか既に集団免疫ができているとかいう根拠のない憶測で日本人は大丈夫だから経済を優先させよと言っている人が多いからだ。もし感染爆発が起きて大量の死者が出ても恐らくこれらの煽動者は責任を取るまい。
更に恐ろしいのは、何も対策をせずに製薬会社や現場医療の努力だけでたまたま大惨事に至らなかった場合に、これらの妄想を唱えていた人の中でその妄想は確信へと変わり、妄想の信者数も増えていく事だ。無根拠に日本人は何があっても大丈夫という妄想を持つ人が多い社会は壊滅的な脆弱性を持つ事になる。もっとも彼らは根拠を持って言っているつもりだろうが、もし今後それが真実だと分かったとしても今の所は何のエビデンスもない憶測に過ぎず、それを元に政策を決めるのは危険だし、PCR陽性者が実際の感染者と大幅に乖離しているような陰謀論を唱えるような輩が、今後どんな災害や危機が訪れても何かの理由を捏造して日本人はすごいから大丈夫と言うのは目に見えている。
こうした妄想を持っているかどうかは別として、週末に行われたGoToトラベルキャンペーンに関する世論調査では11%もの人がキャンペーンをそのまま続行すべきだと回答している。現在の新型コロナウイルス感染症の再拡大を全く問題視していない人がここまで多くいると言うことであり、有効な対策のとりにくさを示す数字でもある。
この感染症の発生源だった中国は独裁国家であり、もともと監視社会であることを利用して人権を無視した広範囲の隔離や検査で感染の封じ込めに成功しているが、日本では実施不能であり、新型コロナウイルスの脅威を認めない人間が1割もいることは防疫上の脅威と言える。
日本政府が強権発動や大胆な財政出動をするとは考えにくくある程度は経済を回す方針となるだろう。このような状況では行政による感染コントロールは期待できない。高齢者以外の致死率はさほど高くはないので、病院や施設や各家庭で高齢者を守る自助努力をして被害を最小限に食い止めるべく努力するしか無いだろう。是非も無し。
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