仏前結婚式
江戸時代以前の日本では結婚式は現代の様に大規模な宗教に基づく儀式を伴っていませんでした。日本で初めての仏前結婚式は元日蓮宗僧侶で還俗して在家の信仰集団を作っていた田中智学の提唱によって明治18年(1885年)に規定され行われた本化正婚式が日本初の仏前結婚式と言われます。田中は家庭を信仰の道場と捉え、在家主体の信仰を推進していきます。この考え方はキリスト教における結婚が、神との契約による秘跡であり神の愛に基づく家庭の運営は神に与えられた使命でもあるとする考え方にも似ており、やはり文明開化の時代にあって、欧米の制度を取り入れた法や社会制度に順応した宗教儀式を造る必要があったのでしょう。明治期には諸宗派の仏前結婚式も始まり今に続いています。正直いって仏前結婚式は一般化しているとは言い難いですが、明らかに在家重視の流れから生まれた物と言えます。廃仏毀釈で寺社領を失った寺院は仏法を守るために色々と工夫したのです。また、明治期には政府からの圧力もあり僧侶も妻帯するようになるので、結婚に対しての宗教的な裏付けを要していたのも一因でしょう。
ちなみに、カトリックなどで離婚が禁じられるのは結婚が神聖な契約に基づくものでありその破棄は神の意思に反するとされるからです。迂闊にも結婚の時に神の前で死が二人を分かつまで云々の宣誓をしてしまった方は神からの強制力が働くかも知れませんね。仏式でも仏様の前で誓いはしますが、ギアスは発生しません。諸行無常なのです。無常であるから大切にしたいという発想は実に日本人らしく良いですね。
私は配偶者の希望もあり唯一神の前で契約しちゃったクチなので鋭意努力します。合掌。
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