不飲酒戒

 今日は日本で最も守られていない戒である不飲酒戒のお話です。

 不飲酒戒は書いて字の如く仏教徒はお酒を飲んではいけませんという行動規範です。ただ、この場合のお酒はアルコール類だけではなく酩酊効果のあるもの全般を指します。アルコールや薬物により自己を律することが出来なくなると、他の戒律も違反しやすくなります。ラブ・アンド・ピースな方々が平和のハッパとかのたまわるガンジャやLucy in the Sky with Diamondsなお薬なども論外です。

 自分も以前過労で不眠になった時に上司から睡眠薬を処方された事がありますが、もののみごとに逆行性健忘となり、朝になって目が覚めたら記憶にない宴会の跡が部屋中に散らばっていた事があました。コップは一つだったので一人でウェーイしていたものと思われます。自分が全く意識しない行動をしていたというのは中々の恐怖でした。

 もちろん、不眠で悩む人に睡眠薬が処方されるのは妥当ですし、今では昔に比べて副作用の少ない薬も出ています。不飲酒戒を睡眠薬や向精神薬に適応するべきではないです。しっかり治療しましょう。

 ただ、違法薬物は言うに及ばす、飲酒についてもアルコール依存により脳や神経に不可逆的な障害を来す人も多いので基本的には不飲酒戒は守った方が良いでしょう。アルコール依存まで行かなくても飲酒により転倒事故や脳出血も増えます。何らかの理由で飲むときも不飲酒戒が心に引っかかれば飲酒量もほどほどになるので、日本では全く守られていないこの戒も少しは気をかけてみると良いでしょう。

 日本では在家信徒だけではなく、元々が無戒の浄土真宗を除いても殆どのお坊さんが飲酒をします。よっぱらって迂闊な事を口走らぬようにくれぐれもご注意ください。確かに檀家さんから勧められれば断りにくいのもあるでしょうが、自分は戒律を守っているから飲めないと言ってもほとんどの檀家さんは納得されるかと思います。

 今年はコロナ禍で宴会なども少ないかと思いますが、皆様も飲酒はほどほどに。とは言え、コロナ禍で消毒に使えるアルコールを大量に作ってくれた酒造会社には感謝申し上げます。アルコール消毒文化が広がって酒造会社が倒産しないように切に祈ります。

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