行基伝説その1

 行基は各地に伝説がある僧として有名です。有名なところでは、古い寺社を行基が開基したとする話が日本中にあります。行基が訪れていないであろう地域にまで数多くの伝説が残っています。その大半は作り話だと思われますが、それだけ人々に慕われていた証拠でしょう。同様の現象は真言宗の開祖空海にもあり空海が掘った井戸や水にまつわる伝説は膨大で日本中にあります。他にも民の為に尽くした僧侶は多いのですがこうした伝説の数ではこの二人が群を抜いています。

 伝説の多い行基と空海の共通点はやはり治水事業でしょう。技術的にはより年代が遅い空海の方に分がありますが、行基は僧が民に教えを説くのを禁じられていた時代に禁を破って民衆とともに生きており歴史的意義が強いです。そんな時代にあって行基は溜池や排水用の溝、橋や港湾の整備にも尽力したのです。空海の溜池などの事業は有名ですので割愛しますが、やはりインパクトが強いです。治水はインフラとして整ってしまえばその恩恵を日常として受け、ありがたみを忘れがちです。しかし、治水工事が行われていない地域ではほんの少しの雨や日照りがたちまち人に被害を与えます。大雨や台風で治水の効果がもたなくても、壊滅的打撃が生じるまでの時間を稼ぎ避難を助ける事は出来ます。先人達の努力を受け継ぎ発展させていきたいものです。(つづく)

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