妙覚道了

 今日は小田原に近い神奈川県南足柄市の曹洞宗寺院、大雄山最乗寺で道了尊大祭が行われる予定でしたが、今年はコロナ禍で中止でした。道了尊大祭は通常1月5月9月の27〜28日で行われています。ここで祀られる道了尊こと妙覚道了は室町時代初期の曹洞宗の僧にして修験者で天狗様です。

 最乗寺が応永元年(1394年)に了庵慧明により開創したときに近江の三井寺にした弟子の妙覚道了が神通力を使い天狗に姿を変えて手伝いに駆けつけ谷を埋めたり怪力で岩を持ち上げたりと活躍したと伝えられます。周囲の土木工事などでも活躍しましたが、師の了庵慧明が応永18年(1411年)3月に没すると寺を守護するために天狗に化身し山の中へと消え、寺の守護神となったとされます。

 妙覚道了は曹洞宗通幻派の僧と言うことになるのでしょうが、三井寺出身で修験者でもあり密教に通じていたのも確かでしょう。最後に天狗になるときは五つの請願を立てています。その内容は、色んな徳目(三宝や四恩など)に敬意を持ち正しい心で道了を念ずる者には利益をもたらすと誓ったもので、直接的に寺を守ると言うよりは衆生を守ると誓っている様に見えます。もちろん、直接的にお寺も守るのでしょうが、お寺に縁のある人を守るのは寺を守る事に繋がり、実際に道了尊として信仰をあつめ現代に続いています。

 5つの誓願のなかで、両親や年長者を敬い平等の心をもって道了尊を念じる者には人々の悪病を消滅させる利益を得られるとありますので、コロナ禍の現在ひとつ宜しくお願いします。

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