プチ活動家入門

 世の中は様々な社会問題で満ち溢れています。それに対してSNSで吠えてみるなどという行為は数が増えれば一定の効果がありますが、少数だとそれほどでもありません。組織的に水増しすれば逆にバッシングの対象にもなります。デモ活動も同志諸君との親睦を図る意味はありますが、日々行われる多くのデモはほとんど人の記憶に残ること無く終わっていきます。では、社会問題の解決をはかるうえで、最も効果的な方法は何でしょうか?ズバリ政治を動かす事です。

 まず、実例を提示します。以前、私が某地方の公立病院に勤務していた時の話です。その地域に深刻な公衆衛生上の懸念が発生しました。私は即座にその問題を扱う役場に事態の改善を要求しましたが、全く受け付けてもらえませんでした。そこで、ちょうど面識のある国会議員に陳情したところ、翌日にはその役人より対策をこうじた旨の連絡が入りました。

 一般論として、社会的な問題が起きた時、まずは担当の行政機関に意見をいいましょう。残念ながらこれがうまくいくのは少数です。行政の現場がもつ裁量は意外と小さく、また役人は決まっている以外の事をするのを基本的には好みません。しかし、ここでちゃんと行政に訴えかけたという事実が大切です。また、万一この段階でうまく行けばお手軽です。

 さて、行政に相談して事態が改善しなかった場合に、行政が動いてくれなかったと政治家への陳情を行うのですが、人を選ぶ必要があります。まず、原則として事前に相談した行政機関が国に属するものなのか、都道府県に属するものなのか、市区町村に属するものなのかにより、陳情する先はそれぞれ、国会議員なのか都道府県議会議員なのか市区町村議会議員なのか違ってきます。議員の種類が決まったら、個別の議員の政策や信条が、陳情する内容と合致するかどうか考えて陳情先の議員を決定しましょう。ただ、陳情の内容によってははじめから総当りでも構いません。また、行政機関へのプレッシャーとしては野党よりも与党の方が上ですが、ぶっちゃけコレは前の二つの条件ほどには気にしなくていいです。陳情の内容が正当なものであれば、野党の議員に陳情しても与党へのプレッシャーが生じ、結果として行政を動かしうるからです。与野党にこだわるよりは話を聞いてくれそうな議員を優先させましょう。陳情する人がその議員の選挙区の住民だと効果が増します。ただ選挙区が違っても、あまり冷たい対応では議員の評判に関わりますので一定の効果はあります。

 こうした陳情は、日頃から議員と顔見知りだったりすると効果が増します。議員が参加しそうな地域のイベントなどには顔を出しておくのも手です。また、NPO団体の役員の肩書があると便利です。NPO団体の設立は仲間さえいれば結構簡単に出来ます。NPO団体の政治活動は禁止されていますが、社会活動はセーフです。継続的に活動する場合は設立しておいて損はありません。私も実は昔、某NPO団体の理事をしていましたが、看板があると議員との面会が成立しやすかったです。

 こうした活動でもハードルが高いと思う場合は、お手紙でもいいので議員の事務所に意見を具申してみましょう。思い通りの結果が得られなくても、座して敗北しなかった事には満足いくと思います。さあ、みんなもプチ活動家デビューを!

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