良寛さんの詩 その1
子供好きとして知られる良寛さんは有名な割には色々な謎があり古今多くの研究者が挑んでいる曹洞宗の禅僧です。その後半生は特定の宗派にとらわれないフリースタイルの仏教者として衆生と共にあり、墓所も浄土真宗の寺にあります。また、多くの和歌や漢詩や俳句や書を残しており文化人としても有名です。良寛さんは大悟の後は寺に入らず、生涯を市井で乞食行をして過ごしました。そんな良寛さんに、長岡藩の第9代当主で江戸幕府老中もつとめた牧野忠精から長岡に寺を造り招聘したいと提案がありましたが、良寛さんは断っています。今日は、この申し出を断った時の良寛さんの俳句をご紹介します。
たくほどは風がもてくる落葉かな
自分の煮炊きに必要な燃料は風が運んでくる落葉でこと足りるという意味です。婉曲に藩主の申し出を断ったのです。
地元の人から愛され支えられいた良寛さんも決して楽な生活は送っていませんでした。寺の住職におさまれば生活の心配は減ったはずですが、それを断り人々の間で清貧な生活を送る事を優先させたのです。良寛さんは大きな説法会などもすることはなく、自身の生活態度や詩歌や会話などで人々を教化しました。今でも多くのファンがいますが、一般にも子供と遊ぶお坊さんとして知られており、少なくとも子供を大事にというメッセージは確実に伝わっています。元々有名な僧ですが、何かにつけ自己責任論の元で弱者が切り捨てられがちな昨今、見直すべき先人の一人であると確信しています。
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