約束

 約束は守るべきです。実際に約束は守られる事の方が多いですが、人間は約束なんて守って当然と思っているせいか、約束が破られた件ばかり印象強く記憶に残るものです。また、経済や社会情勢が不安定だと守られなくなる約束も増加傾向にはなります。

 鎌倉時代に方々へ喧嘩を売っては処罰されていた日蓮上人が流刑先の佐渡の地で書いた開目抄にこうあります。


 つたなき者のならいは約束せし事をまことの時はわするるなるべし 

 現代語訳:愚か者は約束しても肝心な時には忘れてしまうのが常だ


 これは苦難や逆境にめげて信仰を捨てる弟子がいることを嘆いた文章となっています。この文の約束が日蓮上人と弟子との約束の事なのか、お釈迦様と地涌の菩薩との約束なのか疑問もありますが、ともかく人間は困難な局面では昔から約束を破りやすいものなのです。

 様々な評価はあるものの、何度ひどいめにあっても自説を曲げずその生涯を法華経に捧げた日蓮上人は間違いなくGrit(やりぬく力)の巨人です。困難にあい弟子の離反もある状況でもくじけずに、逆に離反者の方を「あーあ、約束破っちゃったよ、愚かだなー」なんて言ってしまう根性は見上げたものです。

 そんな根性の巨人では無い我々凡夫としては、約束は自分が守ればよろしい。他人が約束を守ってくれた時はありがたいと感謝するくらいでちょうど良いくらいの気構えで、日々生活した方が精神衛生上よろしいでしょう。

 

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