終戦の日とお盆と通商破壊戦
先月も書きましたがお盆は推古天皇の時代に遡る日本に根付いた仏教行事です。お盆は全国的には8月15日の地域が多く、ちょうど終戦の日と重なります。同日になったのは単なる偶然なのですが、祖霊が帰ってくると信じられているお盆は、遺骨や遺品も戻らぬ遠い戦地に倒れた多くの民間人や将兵の魂だけでも帰国できるようにとの思いが遺族の心に迫ります。
海外での日本人戦争犠牲者と言うと軍人・軍属や満洲などへの移民が取り上げられる事が多いですし、数的にはこれらが大半となります。しかし、これらの犠牲者の方々とは別に恐らく職種として最も死にやすかったであろうものがあります。民間の船員です。
島国であり海上輸送が生命線である我が国は先の大戦での民間船の被害は特に甚大で船員の損耗率は推定43%、約6万人に達したと言われています。海外で亡くなった日本の民間人は約30万人と言われますので実に20%は船員という事になります。
交戦状態にある敵国の交易路を遮断し経済を停滞させる事により継戦能力を奪う事を企図するいわゆる通商破壊戦において民間商船を無警告で撃沈することは、なんと国際法の解釈として必ずしも違法ではありません。いや違法だろうと思う方も多いでしょうし実際に違法だと言う人もいますが、多様な意見があり統一された見解はないのです。身もふたもないことを言ってしまうとアメリカが散々やったことなのでそういう判断になっているのです。勝者の戦争犯罪は問われないのが常なのです。もちろん現代の国家が同じことをすれば国際的な批判は免れないでしょうが、今日でも石油や貿易品などのほとんどは海を渡って取引されており、それを運ぶ船員はそのような潜在的危険にさらされているのです。各地の神社などには、撃沈された民間船の慰霊碑も建ってはいますが、軍人らのそれと比べれば目立たない物が多いです。もし見かけることがあれば手を合わせてあげてください。
あまり顧みられることのない彼らの魂が無事祖国に戻られていると信じ合掌。ありがとうございました。
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