PCRの検査件数に関する陰謀論に物申す。

 案外に信じてしまう人が多いようなので新型コロナウイルスのPCR検査に関する陰謀論について物申す。

 さる5月8日より新型コロナウイルスのPCR検査を実施するにあたり、37.5℃以上の発熱が4日以上続かなければなければならないという条件を撤廃する通達が厚労省よりあった。これにより目安はあるものの医師の裁量で検査出来るようになりPCR検査数は増えていった。

 この状況を陰謀論者は、小池東京都都知事が検査数を増やして以前の検査方法では捉えられなかった症状のない感染者を数えることで、危機感を煽って自分に有利な政局を作っていると言う批判をする。しかし、前述のように検査実施の基準を緩和したのは国であり都知事の権限ではない。さらに言うならば、現場の医療機関としては症状がなくてもリスクのある接触者などは検査したい訳で、なにか行政からの指示がなくても検査は増えるのだ。

 さて、こうして近日は東京を中心に全国的に再び感染者数は増えている。これに対しても陰謀論者は、検査数が増えたから感染者が見つかっているだけで、危機感を煽る誰それの陰謀がどうのこうのと言うのだ。これは少しだけ正しいが、それから導かれる結論は大きく間違っている。もし初回の感染者数のピーク時に現在と同じ規模で検査をしていたら、もっと多くの感染者が見つかっていたはずで、現在の数字と単純に比較しても意味はないというのはその通りだ。確かに現在の状況は前回のピーク時ほどはまだ危険ではない。だが、注目すべきは感染者数だけではない。むしろ検査したうちの何人が陽性で感染者だと判断されたのかと言うことだ。5月の中旬以降は検査数は伸びてきているが、陽性率の伸びは検査数の伸びより大きい。つまり、感染は拡大傾向にあると類推出来る。単純に検査数が増えただけでは説明がつかない増加であり、現在の結果を冷静にみるならば、感染が拡大しているから警戒すべき状態だとの判断をするべきであって、誰かの陰謀なんだから安心だと油断することではない。

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