痛み
たまに報道で見かけるが、ガンの終末期の麻薬による鎮痛で意識が朦朧となったとして医師が家族から糾弾される事がある。鎮痛による強い眠気や精神症状などの副作用が出現した場合は、処方の減量や変更などの対策は行われる。しかし、それにより耐え難い痛みが患者様に起きるもまた問題だ。痛みだけ取り除く薬が出来ればいいのにと切に思う。
肉体的な痛みに対して薬に頼るななどと言う人もいるが、そういう精神論は間違っている。これまでの人生で何らかの耐え難い痛みを経験した事がある人なら分かるかと思うが、激しい痛みの中では精神的にも参るし肉体的な動作はもちろん思考する力も衰える。肉体的な痛みに苦しんでいる人には容易に理解出来る事も、そうでない人からはあまり理解されない。
涅槃経にもあるようにお釈迦様ですら、その死の前は肉体的苦痛があった。彼の場合はそれが精神的苦痛につながらず最後まで説法をするのだが、もし、お釈迦様を死に至らしめた病気が消化管の感染症ではなく、脳炎だったならそうは行かなかっただろうし、当時その状態まで生存できたかには疑問も有るがガンの骨転移で激痛がある状態ならばどうだったろうか?
死に際して最後まできれいに覚醒した状態で痛みもなく、家族や友人と会話して見送られるのが理想的ではある。だが、理想通りに生きられるとは限らない。そういう理想的ではない状態にいる人の身体的な痛みや心の苦しみに気を配れるようにしたいものだ。また、終末期の痛みではなくても、種々の慢性疼痛に苦しむ人にも同様だ。
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