アメリカの暴動について思う。
人種差別に反対する形で始まったアメリカの暴動ですが、様々な意見の対立によりアメリカの分断は深まっています。もちろん人種差別は良くないことですが、略奪を咎めただけで差別主義者扱いされたり、差別とは関係のないものまでとにかく叩かれたりと、恨みが恨みを生む悪循環も起きています。この悪循環を断たねば先々まで対立の禍根を残すこととなるでしょう。
法然上人の父君の漆間時国さまは、上人が出家なさる前の勢至丸と呼ばれていた幼少時に、地方の治安維持に関わる役人をしておられましたが、勢至丸が9歳の頃、対立する武者の夜襲にあい命を落とします。この時、仇討ちを誓う勢至丸へ瀕死の時国様は、恨みはさらなる恨みを生むだけだと仇討ちをしないように命じ、勢至丸に出家を勧めて亡くなられたと伝えられます。
初期仏典の一つである法句経には「怨みは怨みによって果たされず、忍を行じてのみ、よく怨みを解くことを得る。」とあります。時国様のお言葉には、子が返り討ちの危険にあうのを避けさせる親心もあったのかも知れませんが、おおよそ法句経と同じことをおっしゃっています。誰かがどこかで、怨みをこらえて連鎖を断ち切らないとどこまでも争いが続くのは、人類に変わらぬ真理なのです。
目の前で起きている暴力を防ぐのは必要な事ですが、一旦落ち着いたならば暴力による報復をぐっとこらえて妥協点を探る。今アメリカには慈悲の心が必要なのだと思います。
コメント
コメントを投稿