アメリカのWHO脱退?と新型コロナウイルス対策
アメリカのトランプ大統領が5月29日の会見でアメリカのWHOからの脱退を示唆しました。本日は、この件に関して今後の新型コロナウイルス対策がどうなるのかを考えていきます。
今回の新型コロナウイルス感染症が蔓延した原因の一つは、WHOの対応の遅さにあったことは否めない事実です。これがテドロスWHO事務局長による中国への政治的配慮に起因するのではないかとの見方もあり、WHOの意思決定機関である世界保健総会(WHA)では今回の感染拡大に関しての独立した調査も計画されています。また、現在のところ世界で最も感染の封じ込めに成功している台湾を直近のWHO総会に招かない決定をしたWHO事務局が、中国共産党の意思を代弁しているのは間違いありません。もはやWHO事務局が世界の人々の健康と命を第一に考えていないのは明白であり、公平さも自浄作用も無いこんな組織は潰してしまえという世論は心情的には理解できます。
さて、それではアメリがWHOから脱退して、新たな世界的保険機関を結成すれば問題は解決するのかと言えば、実のところそう単純な話ではありません。
問題のまず第一は、自前の医療体制が脆弱な貧困国では、アメリカの脱退に伴うWHOの資金不足とその活動の低下により深刻な衛生上の被害が生じると予測されることです。
第二に、中国の情報がより見えにくくなるという問題があります。ただでさえ正確な情報がつかみにくい中国ですが、WHOという窓口が無くなると更に分かりにくくなります。今後また中国で感染爆発が起きた時に、世界がそれに気づくのが遅くなってしまう可能性もあります。
第三に、出費の問題です。新たな枠組みを作るのは既存のシステムを使うより高額になります。また、もしある国がWHOにもアメリカの新保険機関にも参加するのならば、余計な出費が増加することになります。
第四に、WHOは今回もこれまでも失敗はありましたが、なんだかんだで天然痘やポリオの撲滅に貢献しており、コレラや結核やエボラ出血熱などの対策も行ってきました。こうした経験豊富な枠組みが消滅するのは世界的な保健や防疫上の大問題です。
トランプ大統領の強硬姿勢によりWHO側が折れて改革してくれるか、アメリカ主導の新組織にWHOの現場でのシステムをそのまま移植するように取り計らうかしないと、色々と混乱が尾を引きそうです。
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