ネットいじめによる殺人事件について
自分がよく知らないことについて書くのは問題があるかと思われるが、報道などで聞き及んだ範囲でも、十分に由々しき事態だ。犠牲者の冥福とこれ以上被害が増えないことを祈って申し上げる。
問題となっているのは、ある芸能人が私生活を見世物にするという体の番組に出演したところ、番組内での言動に対してネット上から誹謗中傷がよせられ芸能人が自死してしまったというものだ。大変痛ましい。もちろん直接ネットいじめを行い被害者を死に追いやった人たちの行動は殺人といえるが、問題はそこだけにとどまらない。
まず、この番組は私生活を見世物にするのを売りとしているがもちろん脚本はあるだろうということだ。少なくとも出演者には視聴者を引きつける様なアクションを促す指示は出ているはずである。憶測ではないかという意見もあるかも知れないが、本当の日常生活に番組として成立するほど頻繁な山も谷もない。狙わないとそんな事は起きないし視聴率も取れない。出演者がどの程度全体像を把握していたのかは分からないが、製作者側の意図は明白だ。
歴史を振り返れば、昭和の頃のテレビ番組でも悪役は実生活で家族までいじめられたという。はじめから作り話だとして提示されたドラマに対してもそういう反応をする者は遺憾ながら存在する。ましてや、これが出演者の生の生態であるとして見世物にすれば、やはり一定数の残念な反応があるのは製作者には予見できたはずであり、それへの対策が十分に講じられていなかったのも問題だと言える。歴史的に視聴者さまに気を使って現場の労働者の安全をないがしろにしてきたテレビ局の罪は重い。お客様だろうが視聴者様だろうが変なことを言ったりしたりしてくる人間に対しては、立場の弱い現場の労働者を守るために、雇用している者が断固とした対応を取るべきだったといえる。
今世紀に入り、テロリストは強力な武器を安価に入手出来るようになりテロ事件は恐ろしく増えた。社会的ないじめも同じだ。ただで利用できる匿名性の高いSNSなどの道具を使って残念な人達が暴れ、その犠牲者はテロ同様に社会的弱者だ。加害者に反省を促すのは当然であり場合によっては法的な処罰もありうるだろうが、弱者を食い物にする社会構造から正さねば似たような問題はまた頻繁に起きてしまうかも知れない。
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