田舎のお寺

 自粛も徐々に解除されてきており、自粛期間中のお寺巡り予習のための連続企画も一旦終わろうかと思います。お寺の紹介はぼちぼち続けて参りますが、今日は日本のお寺についての所感です。

 お寺巡りの対象と言えば観光化された歴史ある寺院である事が多く、今回の騒動による収入の減少は大変なことでしょう。こういうお寺のほとんどは守るべき文化財があり、いくらかの公的補助があるとはいえ、その維持にも多大な費用が必要です。文化財に害がないように観光客を誘致するのは致し方ない側面もあります。ただ、訪れる側として忘れてはいけないのは、お寺は本来は宗教施設であり、観光で訪れたとしても最低限の敬意をもってお参りさせて頂くという心をもってほしいと言うことです。

 しかし、コロナ騒動で苦しかろうとは言え、これまでに紹介したようなお寺はまだ良い方です。悲しむべき事ですが、このような騒ぎがある前から特に田舎では歴史あるお寺であっても、建物や仏像がボロボロな状態になっているところも少なく無いのが現状です。お寺だけでなく神社もですが、地方を歩いていると、経営以前に物理的な意味で潰れそうな寺社もよく目にします。皆さんのふるさとではどうでしょうか?ご先祖様のお墓を管理して頂いているお寺が持続困難となれば、お墓の移転も考えなくてはならなくなります。昨今では子孫がいても、お墓を放棄して無縁仏となる事例もあるようです。

 こうした寺社の衰退の最大の原因は少子化や大都市への人口の集中ですが、いくら少子化が進んだとは言え、江戸時代に比べれば人口はかなり多いわけで、日本人のご先祖様や地域文化を大切にする心が希薄になっているのも原因の一つでしょう。また、今日のタイトルは田舎のお寺ですが、大都市には人は多くてもお寺参りする人は少なく、田舎に限らず全国的に苦しいお寺が多い様です。こうした事情もあり、現在のお寺の数を全て維持するのはもはや不可能で、今後、多くの統廃合を余儀なくされるでしょう。ただ、お釈迦様より2500年、日本に仏教が伝来してより1400年以上、日本の文化の一部として日本人と苦楽をともにしてきた仏教がこのまま消えていくのは避けたいものです。南無佛。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号