お仏飯

 日本の家の仏壇に欠かせないものと言えばなんでしょうか?灯明と香と花は必須として、仏壇の比較的上段の方にお仏飯がお供えされている事が多いですね。だいたいどこの宗派でも見かけます。

 そんな仏飯ですが、チベットや東南アジアの法事ではあまり見かけた記憶がありません。米はインド原産で、アジアに広く伝わっていますが、日本人の米にかける愛情はやはり突出しているように思えます。

 日本の多くの宗派では仏飯を朝に上げて正午までに下げるようにしているところが多いです。これはお釈迦様が在世の折は、托鉢で頂いた食べ物は1日1食で午前中に頂いていた事に由来するとする説もあります。しかし、お仏壇に供える御飯は仏様に食べて頂くためでなく感謝の気持ちの表れとする話もありますので、実のところ統一した見解は無いのかも知れません。宗派や地域でお仏飯の意味も細かくは違っているでしょうが、大切なお米を大切な仏様に捧げ感謝する気持ちを大切にしたいものです。

 そんな日本人のソウルフードのお米ですが、一人あたりの消費量は50年前と比べて半分以下になっているといいます。このため米の生産量が年々落ちていっても消費量の減少もあって米の自給率は100%を維持しています。一方で、カロリーベースでの日本の食料全体の自給率は、平成30年度の数字で37%です。今回のような世界的な混乱があれば、食料の輸入が滞る恐れもあるわけですので、自給率はもう少し高く維持出来るようにしたいものですね。日本風の水田を使った米の生産効率はものすごく高く、米食の復権が自給率を救うかも知れません。

 よく日本仏教は独特だとかガラパゴスだとか言われますが、大体において仏教は根付いた地域の文化や風習や思想を吸収して独自の発展をとげています。日本人たる私達は仏様とともにお米を大切にする仏教を守って参りましょう。南無佛。

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