PCR検査の小話
知っている人は知っている話ですがPCR検査の有用性に関して少々。
質問です。とあるPCR検査で、とあるウイルス感染者を正しく感染者だと判定できる確率が70%、感染していない人を感染していないと正しく見抜ける確率が99%のものがあったとします。とある町の人口の1%の人が感染者であった時に、この町の住人全員にこのPCR検査を行ったら、検査で陽性とされた人のうち実際の感染者は何%になるでしょうか?
答えは41%です。6割くらいは感染者では無いのに陽性が出たことになります。
質問その2です。ではこの町の人口の50%が感染者であった場合に、この町の住人全員にPCR検査をしたら、陽性とされた人のうち実際の感染者は何%になるでしょうか?
答えは99%です。陽性がでればほとんど感染者だとみなしてよい事になります。
つまり、感染の拡大がわずかな時に症状のない人も含めて広くPCR検査を行っても陽性的中率が低いのです。この場合では症状や経過で対象者を絞り込んで検査しないと感染の連鎖を追うクラスター対策に支障を来しかねません。逆に感染者が拡大してしまって、クラスターのリンクも追いにくい状態になっていれば、陽性的中率は上昇しているので、検査数を増やした方がよい事になります。ただし同時期に50%も感染している人(回復者は含まない)がいる状況はあまり現実的ではありません。もちろん全員を隔離して何度も検査すれば封じ込めも可能でしょうが、物理的に現実味がありません。
検査実施の是非は状況によって変わるのです。
※ 上記計算の途中経過も書いておきます。
人口の1%が感染者の場合、検査で陽性となる感染者は人口の0.7%で、検査で陽性となる健常者は0.99%です。感染の有無を問わず陽性となったのは人口の1.69%ですので、陽性になった人のうち実際の感染者の割合は0.7/1.69で約41.42%で、小数点以下一桁を四捨五入して41%です。
人口の50%が感染者の場合、同じく検査で陽性となる感染者は人口の35%で、検査で陽性となる健常者は人口の0.5%ですので、陽性となった人のうち実際の感染者の割合は35/35.5で約98.59%で、小数点以下一桁を四捨五入して99%です。
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