アンパンマンと菩薩行

 明日、5月1日でアニメのアンパンマンが1500回を迎えるとのこと、おめでとうございます。自分が子供の頃はまだアニメ化されておらず、今とは違う絵柄の絵本が主流でしたが、ひもじい思いをしている人を助けるというコンセプトは今と変わっていません。

 作者のやなせたかし氏はアンパンマンの他にも童謡の「手のひらを太陽に」の作詞でも知られています。みみずだってオケラだってアメンボだってみんなみんな生きているんだ友達なんだ、という歌詞などは、一切の命に対する同朋意識の現れにも思えます。ご実家は真言宗だったようですので、もしかしたら仏教の影響もあるのかも知れません。

 実際にどの程度、仏教の影響があったのかは分かりませんが、アンパンマンは常に困っている人を助け、文字通り自らの身体を削って空腹の人を助け、貪りの心を持たず、悪に対して屈すること無く、しかも相手が悪であっても殺生はせず、怒りに取り憑かれることもなく、驕ることも無く、極端な行いを避ける智慧を持っています。その結果、日頃はアンパンマンに助けられている人たちも、アンパンマンが窮地に陥った時に助けに来ます。あの世界は菩薩行の世界のようにも見えます。

 一部に、アンパンマンが暴力的だという批判もありますが、アンパンマンは悪いことをするバイキンマンにあっても、「やめるんだバイキンマン」などと、まず悪いことをやめる様に警告を発するか相手が使用している凶器を破壊するなどします。説得が失敗した場合に「許さないぞ」と最終的な警告を行い、それでも襲いかかって来た場合にアンパンチを使用するのです。しかも、バイキンマンは多少は痛い目にあいますが、死にませんしすぐに回復する程度の攻撃です。これを暴力的だと言うのなら、悪者に立ち向かわずにいるのが善いのかという話にもなります。

 既に作者は亡くなっていますが、今後も良い作品が生まれるように願います。合掌。

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