経済活動の再開について考える

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い自粛が呼びかけられている経済活動はいつどのように再開されていくのか考えてみました。

 基本的には、経済活動の再開により増加する感染症による死者数と、経済活動の停滞による死者数のどちらがより多いかの「予測」によって経済活動の再開は段階的になされるはずです。経済活動の停滞による死者には、自死や餓死、治安の悪化に伴う犯罪に伴う死亡、インフラの障害による通常なら死ななかったであろう死者の増加などなどが含まれます。
 
 しかし、この予測を正確に出来る人間はこの世に存在せず、経済活動再開の判断は慎重にならざるを得ません。つまり、未知の感染症について安全に余裕をもった判断をする以上は、経済的な被害に関しては最適解よりも大きくなる傾向はあるのです。

 更に、問題を複雑にしているのは、日本の経済活動の停止はあくまでも自粛であり強制力を持っていない事です。つまり、経済活動を行おうと思えば出来るのですが、それはあくまでも自己責任です。行政は要請すれども責任は取らない立場です。個人や会社が個別に経済活動を停止させずにいて、もし何か問題が生じた場合は、法ではなく社会的な制裁が発生するであろうことを予見したうえで、行政は自粛要請をしています。

 実際に、自粛要請があっても経営を続けてクラスターを発生させた事業主は社会から猛烈なバッシングを受けます。みんなの命がかかっているのだから当然です。しかし、行政が活動停止を命令し、その間の補償を行えていれば、そもそも発生しなかった問題でもあります。政府もいくらかの補償はしていますが、たえきれずに倒産する企業も増えています。

 こうした命令ができるように法律を改正するのも一つの手ではありますが、今からやっても手遅れ感が強いですし、社会や政治の情勢をみるに、この手の法改正が問題のない内容ですぐに成立する可能性はありません。少なくとも現在の問題に関しては社会の同調圧力に期待した施政を行うしか無いのでしょう。

 これらの状況を考えると、経済活動の再開は段階的で、感染者数の推移を見ながら何度かの自粛要請と規制の緩和を繰り返す形になっていくと予測します。初回の緩和は来月か再来月には行われると思いますが、最終的に全部解除になるまでには年単位の時間がかかるとみています。この予測は外れるかも知れませんが、現時点での感染の状況がある程度よくても長期戦を想定した準備と覚悟が必要です。

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