感染者いじめを憂う

 新型コロナウイルス感染症患者やその家族に対する地域住民によるいじめが起きているとの報道があります。また、地域でのそういう噂も耳にする事も多く、残念ながら事実のようです。

 このような事は決して看過出来ません。例えば自宅待機中の感染の疑いがある人や感染者の濃厚接触者に出歩かれて困るとしても暴力や嫌がらせで外出を防げるでしょうか?生活に必要な物資なしに自主隔離は出来ません。まずは、接触しない方法で、外出を控えるようにように伝えれば良いのであるし、同じく接触しないように食料などを支援する方法だってあります。自治体に支援を要請することも可能です。感染者は入院されているので不在の家を襲ってなんとなりましょうか?入院していた患者が退院できたのなら祝ってあげれば良いのです。亡くなられたのなら祈ってあげてもらいたいものです。現状では、もはや誰が感染していてもおかしくない状況であり、いじめの加害者が感染していない事を誰が保証してくれるのでしょうか?今回の感染症は無症状や軽症者からの感染もあるので、全員が自分も感染しているかも知れないとの心構えで行動が必要なのです。

 また、もし不適切な行動をして感染を拡大させた感染者がいたとして、その被害者や被害者の縁者が復讐の目的で感染者の家族が住む家に投石や張り紙をしたとして何になるでしょうか?一瞬は溜飲が下がるかも知れませんが不毛です。復讐はさらなる復讐をまねきとどまることがありません。

 こうした行為はこれまでも犯罪者の家庭にもよく行われますが、リンチを行うのもまた犯罪行為であるのを忘れてはなりません。そもそも感染者が感染したことは犯罪ではありませんし、本人やその家族に管理責任が問えるケースは極めてまれでしょう。責任が問えるケースであっても私的制裁は犯罪です。法に触れる行為があったならば、法に訴えればよいのです。冷静に智慧のある行動が求められます。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号