行動制限と臨終の場

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、様々な場所で社会的な行動制限が始まっています。

 病院も例外ではなく、新型肺炎でない一般の入院患者様への面会も一律に制限をしている所が多いです。こうした中でも人は色んな理由でお亡くなりになります。大切な家族や友人の最期を十分に看取ることが出来ない事は、先立つ人にも残される人にも辛いことです。

 今では人が死ぬ場所のほとんどが病院ですが、昔は自宅で死ぬ人の方が圧倒的に多かったです。しかし、徐々に病院で死ぬ人が増加していって自宅で死ぬ人の数を上回ったのは1976年の事でした。つまり、いま高齢で死期に差し掛かっている人が若かった頃は、死とは自宅で迎えるのが通常だったのです。

 実際に、帰宅すれば命が危ない状態でも多くのご老人は家に帰りたがります。家で死ぬのが常識だった記憶がある高齢者と、病院で死ぬのが常識である若年から中年の人では、その感じ方も違うことでしょう。

 核家族化が進み、福祉関連の予算も制限がかかる昨今、自宅で最期を迎えたい人達の希望をかなえるのはなかなかに難しいものがあります。しかし、今回のような状態をみると、人間の最後の願いはなるべくかなえたいと考えさせられます。

 もちろん、伝染病の患者様は遺憾ながら隔離が必要です。日頃から家族や友人を大切にするのも忘れてはいけません。

 それではまた、合掌。

コメント

このブログの人気の投稿

妙好人、浅原才市の詩

現代中国の仏教

懐中名号