ビハーラ医療に活かす六波羅蜜、その5
ビハーラ医療に活かす六波羅蜜、初めの布施は別のタイトルだったので「六」波羅蜜ですが5回目の今回が最終回です。前回までの布施、持戒、忍辱、精進、禅定に続き今回は智慧です。
智慧とは一言でいうと煩悩を滅した安らぎの状態です。これまでの五つの波羅蜜を行った結果、智慧をたもてる時間が増していき、その智慧がこれまでの五つの波羅蜜の実施をより良いものにして、より良い五つの波羅蜜がさらに智慧波羅蜜に磨きをかけるのです。そうして退くことのない智慧の完成を目指すのです。先の五つの波羅蜜がうまくできれば結果として医療だけでなく生活のすべてに活きてくることでしょう。
また、六波羅蜜は大乗仏教で選ばれた修行の項目であり、上座部仏教には他の波羅蜜もあります。こういう違いもあって六波羅蜜の場合の最後の波羅蜜である智慧は、通常は大乗仏教の根幹ともいえる般若波羅蜜です。般若心経で有名なあの般若波羅蜜です。もともと般若という言葉自体が智慧を意味する言葉です。
この話をまとめるにあたり、般若に関する簡単なまとめもしておきたいと思います。大乗仏教の成立以前の仏教は、出家の僧が救われ在家はその支援をすることによって功徳を積んで来世で良い機会を得られるようにするという二層構造がありました。大乗仏教は在家やすべての衆生にも救いの範囲を広げようし、またその発想自体が釈迦の真意であるとの考えで行われた仏教の改革運動の結果生まれました。この大乗仏教の最初期にまとめられた経典群が般若心経も含まれる般若経です。既存の仏教でも物事は因と縁によって成り立ち無常・無我であるとの考えはあったのですが、般若経で説かれる空はそれをとらえる物質たる体のみならず、感覚や精神活動も含めてすべてに確たる実態は無いと結論付けました。お釈迦様がとかれた悟りに至る道すらも確たる存在ではないとしています。これは悟ろう悟ろうとして必死に修行に執着するのもいけないということです。様々な存在を否定する一方で存在が全くないと決めつけることも否定しています。こうして極端な考えから離れ執着をすてることを中道といい2世紀ごろインドの竜樹という僧によりまとめられ、のちに中観派と呼ばれることになります。この中観派が日本に伝わった大乗仏教諸派のオリジナルというべき存在で、祖師の竜樹は八宗の祖ともたたえられています。
最後の智慧波羅蜜は般若波羅蜜なのです。竜樹についてはまた別の機会にお話しすることにして。六波羅蜜のお話はここまでにしたいと思います。
それではまた、合掌。
智慧とは一言でいうと煩悩を滅した安らぎの状態です。これまでの五つの波羅蜜を行った結果、智慧をたもてる時間が増していき、その智慧がこれまでの五つの波羅蜜の実施をより良いものにして、より良い五つの波羅蜜がさらに智慧波羅蜜に磨きをかけるのです。そうして退くことのない智慧の完成を目指すのです。先の五つの波羅蜜がうまくできれば結果として医療だけでなく生活のすべてに活きてくることでしょう。
また、六波羅蜜は大乗仏教で選ばれた修行の項目であり、上座部仏教には他の波羅蜜もあります。こういう違いもあって六波羅蜜の場合の最後の波羅蜜である智慧は、通常は大乗仏教の根幹ともいえる般若波羅蜜です。般若心経で有名なあの般若波羅蜜です。もともと般若という言葉自体が智慧を意味する言葉です。
この話をまとめるにあたり、般若に関する簡単なまとめもしておきたいと思います。大乗仏教の成立以前の仏教は、出家の僧が救われ在家はその支援をすることによって功徳を積んで来世で良い機会を得られるようにするという二層構造がありました。大乗仏教は在家やすべての衆生にも救いの範囲を広げようし、またその発想自体が釈迦の真意であるとの考えで行われた仏教の改革運動の結果生まれました。この大乗仏教の最初期にまとめられた経典群が般若心経も含まれる般若経です。既存の仏教でも物事は因と縁によって成り立ち無常・無我であるとの考えはあったのですが、般若経で説かれる空はそれをとらえる物質たる体のみならず、感覚や精神活動も含めてすべてに確たる実態は無いと結論付けました。お釈迦様がとかれた悟りに至る道すらも確たる存在ではないとしています。これは悟ろう悟ろうとして必死に修行に執着するのもいけないということです。様々な存在を否定する一方で存在が全くないと決めつけることも否定しています。こうして極端な考えから離れ執着をすてることを中道といい2世紀ごろインドの竜樹という僧によりまとめられ、のちに中観派と呼ばれることになります。この中観派が日本に伝わった大乗仏教諸派のオリジナルというべき存在で、祖師の竜樹は八宗の祖ともたたえられています。
最後の智慧波羅蜜は般若波羅蜜なのです。竜樹についてはまた別の機会にお話しすることにして。六波羅蜜のお話はここまでにしたいと思います。
それではまた、合掌。
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