マイメロママが炎上する社会
マイメロママが炎上している。マイメロディはサンリオ社のウサギ風のキャラクターで、2005年には「おねがいマイメロデイ」というタイトルのアニメにもなっている。このアニメにも出てきたマイメロディの母親がマイメロディママ、通称マイメロママだ。
このマイメロママ、アニメでは毒舌と言うか強いキャラクターとして人気を博し、「おねがいマイメロディ」自体がサンリオの狂気とまで讃えられるようになった一因でもある。
そんなマイメロママの名言と言われるものには以下のようなものがある
・女の子が気にしていることをいうような男はぶってもいいのよ。
・昔話をしている男ほど将来を期待できないものよ。
・一度や二度の失敗でクヨクヨするような男をつかんだら一生の不覚よ。
・人ってね権力を手にするとおのれの器もわきまえず使ってみたくなるのよ。
などとなかなかの内容だ。
今回問題となったのは、バレンタインチョコのパッケージにこれらマイメロママのいわゆる名言がプリントされていることだ。その一つに「女の敵は、いつだって女なのよ」というものがあり、前時代的だと炎上している。また、先に紹介したマイメロママの名言と呼ばれるものの多くも、マイメロママが専業主婦の立場からした発言が多く、専業主婦そのものの存在を許さない価値観の人達からも激しい攻撃を受けている。
当時を知る人間からすれば、こうした言葉は話の流れや時代背景も考慮して見るべきだと思うだろうが、そんな事情を知らない人達からは批判しない方が奇異に感じるのだろう。社会の価値観は割と短い期間で大きく変わる。例えば1979年にリリースされヒットした沢田研二の歌謡曲「カサブランカ・ダンディ」の歌い出しは「聞き分けのない女の頬を一つ二つはりたおして」だ。今ではおそらく発売できまい。だが、たかだか40年と少し前の日本では、男が女をはりたおしても然程問題にはならなかったのだ。それが2005年の「おねがいマイメロディ」の頃には、マイメロママに見られるような強い女性が男をいいように操るのが面白いとされていて、2022年の現代ではそんなマイメロママも男性の支配体制に与する悪鬼羅刹のような扱いを受けるようになった。
今後、社会的価値観がどのような変遷をたどるのかは分からないが、10年や20年スパンでもそういうものは著しく変わっていくものだ。まだそんな経験のない若い人間には感覚としてわかりにくいかと思うが、今後も変わり続けるのは間違いない。だから、こんな無常の世の中で、100年や1000年も変わらないものはとても貴重なことだといえる。とりあえずは仏教の怒るなとか貪るなとかは2500年くらいは続いている。誰かがなにかを批判するのは自由だが、その際に怒り狂うのはやめて冷静さは保っておいて欲しいと切に願う。
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