法華経と維摩経と勝鬘経
日本仏教の祖というべき聖徳太子は救世観音菩薩の化身としても信仰をされており、没後1400年にあたる今月は多くの寺院で法要が営まれました。法華経と維摩経と勝鬘経はそんな聖徳太子が注釈をつけ重要視した経典です。この三経典には日本仏教の精神の核が内包されています。
まず、維摩経ですが、在家信者の維摩詰居士が主に文殊菩薩との議論を通じて教えを説く形となっています。言語的な対立的概念への執着を離れれば、在家の日常生活の中にも仏道修行の完成をみることが出来る事を示しており、在家主義を強調した作りとなっています。
勝鬘経は在家信者で王妃の勝鬘夫人が誓いを立て教えを説きお釈迦様が追認する形式であり、全ての人が仏となりうる事を説く如来蔵思想の経典です。
有名な法華経はお釈迦様の教説とされ、様々に見える仏の教えも一つであることと仏の永続性を説く経典です。
三つをまとめると在家を差別せず、女性を差別せず、方法論が違って見える考えも皆が仏になるという一つの目的に統合しており、聖徳太子の和を以て貴しとなすの思想と調和しています。
聖徳太子はこうした仏典を推古天皇にも講義されており政治にも影響を与え、また社会福祉にも尽力されました。皆が平等に助け合う日本的な精神というものは聖徳太子の導きによるものとも言えるでしょう。
こうした偉大な先人に感謝の誠をささげてまいりたいものです。
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