二度目のサフラン革命は起きないのか?

 2007年にミャンマーで起きた軍事政権への抗議デモは、仏僧も多く参加し中心的役割を果たしたことからその僧衣の色になぞらえてサフラン革命とも呼ばれている。日本人ジャーナリストが取材中に軍から射殺された事でも知られている。このデモは軍に鎮圧されるが、この翌年の2008年には新憲法案に対する国民投票が行われ、民主化の呼び水となったとも言える。そして、2011年に民主化を果たしたミャンマーはその10年後の今年2021年にまた、軍事政権化し民主化を求める市民が弾圧、殺害されている。

 このサフラン革命の時に散々に弾圧されたせいか、ミャンマーの上座部仏教界からはあまり軍事政権への強い抗議が起きていないようにみえる。ミャンマーの僧の一部はデモに参加したり一定の国軍批判もしているがサフラン革命の時のような大きな動きは無く、中には軍に協力する僧までいる。

 仏教で説かれる四無量心は他人に楽を与え、苦を除き、幸福を喜び、相手に対して落ち着いた心を保ち平等に接する心を無量に持つことだ。上座部仏教にもこの概念はあり、上座部仏教であっても僧侶たちが四無量心を発揮する対象は一切衆生でなければいけない。もし、その対象が軍事政権のメンバーのみならば無量心ではない。

 今の所は二度目のサフラン革命がおきる雰囲気もなさそうだ。

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