キハダ、黄檗、陀羅尼助、百草
主に紀伊半島に伝わる民間薬に陀羅尼助というものがあります。キハダ(黄檗)を原料として作られた薬で、下痢や消化器症状に効果があるとされる他、その苦味から陀羅尼(真言)を唱える僧侶が眠気覚ましに使ったと伝えられます。
同じ成分の薬には信州周辺の百薬という伝統薬もあり、修験者が御嶽山に陀羅尼助を持ち込んだのが始まりとする説もあります。百草は善光寺の大勧進でも売っているくらいで人気はあるようです。他、愛媛の石槌山や鳥取の大山など修験道と縁が深い地域にもキハダを原料とする薬が伝わっています。
言い伝えによると、陀羅尼助を作ったのは修験道の祖である役小角だとされますが、キハダ(黄檗)は日本でも古くは縄文時代からその薬効が知られていたとする説もあり、また、後漢の時代の医学書である「神農本草経」にも檗木として記載があることから、実際の起源はかなり古そうです。
さて、黄檗と言うとどうしても思い出すのが臨済義玄の師である黄檗希運禅師です。彼の名は修行した黄檗山建福禅寺の名にちなんだとされます。この山には黄檗の木が沢山生えていたから黄檗山と名付けられたそうです。黄檗は薬用の他、経典の虫食い予防の染料として使用されていた歴史もあり何かと仏教と縁深い植物です。
なお、オウバクは日本薬局方にも収載されている生薬です。使用される場合は医師・薬剤師などにご相談されることをお勧めします。
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