世界メンタルヘルスデー

  今日は世界なんとかデーの中でもかなり影が薄い世界メンタルヘルスデーです。統合失調症や鬱病は治療するべき話であり患者が差別対象となってはなりません。また、どんな人でも環境が悪いと精神を病むものです。精神を病む可能性をもって差別していいのなら世界中が差別の対象となってしまいます。

 このような差別がまかり通る理由の一つは、差別主義者は精神病患者を恐れているからです。確かに令和元年度版「犯罪白書」によると平成30年の統計では精神障害者およびその疑いがある人は放火犯の17.5%、殺人犯の11.8%を占めており、日本社会における精神疾患の有病率(約3%)から考えると突出して高くはあります。しかしこれは鶏と卵の問題で、精神を病んでいるから罪を犯したのか、あるいは、罪を犯してしまうような過酷な環境にいたから精神を病んだのかはわからず、この事実をもって精神病患者が危険だとは言えません。

 一方で、私の知人の家族も面識の無い統合失調症患者から理由もなく殺されましたので、社会の人々の精神病患者に対する恐怖にも一定の理解は出来ます。

 それでも差別に反対するのは、差別は問題の解決につながらないからです。差別により患者達を追いつめればそのストレスが引き金となりさらなる犯罪増加を招く恐れすらあります。患者様がなるべく気持ちよく治療と生活を出来る環境にした方がいいに決まっています。また、精神疾患の有病率は約3%でも、平成15年のこころの健康科学研究事業の報告によると人生の中で一度でもなんらかの精神障害を有する人の割合は18.6%とされます。つまり健常者が風邪をひくように、たまに精神を病むだけの人も多いわけです。かつ、いま状態が良い人の中で誰が後に精神を病むかなんて分かりません。手当り次第に差別するよりは手当たりしだいに人に親切にする社会の方が生きやすいのも間違い無いでしょう。

 この世が病人に優しい社会となるように祈ります。

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