良寛さんの歌、その3

 今日はほぼ一日中小さな子供と遊んでいたので良寛さんの歌の紹介その3です。

 「わが待ちし 秋は来ぬらし このゆふべ 草むらごとに 虫の声する」

 この歌は良寛さんの自筆の歌集である「布留散東(ふるさと)」にある、草むらから聞こえる虫の声を聞いて待ち望んだ秋の到来を喜んでいる歌です。この暴走族の落書きのようなタイトルの歌集は良寛さんが58歳の時に己の人生と考えの移り変わりをまとめたものとも言われます。良寛さんの最も有名な歌の一つである「この里に 手まりつきつつ 子どもらと 遊ぶ春日は 暮れずともよし」もこの歌集の一首です。おそらく布留散東と言う語にもいろんな意味が込められているのかと思われますが、想像の域を出ません。ふるさとに布施を留めて東に散る、東を西方浄土に対する現世と解釈すれば、自分の故郷に留まって仏法を説きこの世で死ぬとも読めるかも知れません。

 ともあれ秋です。正解か間違いかなど気にせずに、先人からの謎かけを楽しみながら本を読んでみるのも風情があっていいですね。良寛さんから見たら私たちの歌心など幼児のようなものでしょう。きっと笑って遊んでくださる事でしょう。

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