医療と仏教

 102回目の今日は、このブログの本義に帰り医療と仏教の話を少々。

 ビハーラ医療は狭義では終末期における仏教的な医療の事です。仏教は生老病死の苦を除く為の教えであり、終末期医療との親和性は高いです。特に日本人の多くは仏教徒であり、自身や親族の死に関して見つめ直す時、仏教的な医療や介護はこの苦しみを除く助けとなるでしょう。

 一方で、仏教=お葬式=不吉と、とらえる人もいらっしゃいます。そのような方々を不快にさせない為にも、棲み分けを図るのは大事です。このような事情から各地に、ビハーラ医療を提供する専用の医療機関や施設はありますが、その数は少ないです。

 ビハーラ施設は、なぜ数が少ないのでしょうか?それはある種の偏見にあると考えます。高齢者からのビハーラ医療の需要はそれなりにあるのですが、その子や孫の多くは形式上は仏教徒であっても、それは葬式を仏式ですると言う意味でしかなく、前述のように仏教を何か不吉な怪しい物と見ている人も多いのです。高齢者を怪しい宗教から守ろうとするのは家族なら当然の事です。

 この誤解は大変にもったいない事です。日本に1500年近くも受け継がれてきた精神文化が偏見により途絶えそうになっているのは実にもったいない。

 信心深い家族がいらっしゃる方は、ぜひ直接に仏教の話を聞いてみて下さい。おじいちゃんやおばあちゃんが何故、毎朝お仏壇に手を合わせるのか、そこで何を思っているのかを聞いてみて下さい。伝統宗派にはそれぞれ深い思想や教学もありますが、そういう話よりはその人の気持ちを聞いてみて下さい。患者様が家族に仏教の話をしても馬鹿にされたりしないと安心していただけるだけでも前進です。

 ビハーラ医療・介護はそれを嫌がる人への配慮も必要ですが、在宅介護では家族の協力さえ得られれば、おおむね患者様の希望にそえるはずです。患者様だけでなく家族の方にも、仏法は心の支えになります。また、非ビハーラ施設内ならば、仏教を前面に打ち出さなくなくて良いんです。仏教だと全く言わなくても、仏教的な慈悲の心は、医療・介護を必要とする人の助けにきっとなります。

 日本の仏教が再興しますように、死を迎える人の心が安らかでありますように、南無佛。

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