高齢医師には反ワクチン派が多いのか?
某有名小説家や若手の医師などがまことしやかに高齢の医者には反ワクチンやコロナ陰謀論の支持者が多いと言っているが果たして本当だろうか?
確かに医学部を卒業して引き続き研修医として教育を受けている若い医師で荒唐無稽な陰謀論を信じる人は皆無であろう。教育の力は偉大だ。ならば上記の爺医(ジジイ)老害論は正しいのかというと違うと思う。
そもそも、高齢の医者でも陰謀論を信じている人はかなりのレアキャラだ。しかも、紹介状のやりとりがある地域に数人程度はいる陰謀論的な思想の医師も必ずしも高齢者ではない。高齢の医者なら変な奴だということは無い。むしろ例外だ。
ただ、例えばワクチン接種に関して若い人ほどは積極的に勧めない高齢の医者は多い印象がある。医師は臨床年数が長いほど、激しいクレームに遭う経験が増える。医学的には自分の診療と全く関係がない患者の死亡や障害でその家族からお前が悪いと詰め寄られた経験の無い者は、よほど幸運であったか患者を診た数が少ないかのどちらかだろう。
こういう経験を経てきた医者は他人に何かを勧めることは避ける傾向が生まれる。治療の説明の際もリスクベネフィットを淡々と説明して患者に選ばせるようになる。当たり前だが素人が治療の指針を決めるより、専門家が決めたほうが治療がうまくいく可能性は高い。本来ならば医師はワクチン接種を強く広く勧めるべきなのだ。だから小生は自分の担当する患者に関してはワクチン接種を勧めている。だが、患者からどうすればいいのかと訊かれた時に、説明だけして患者の自己責任で決定せよと伝える医者もそこそこいる。こうした姿勢が高齢医師に反ワクチン派が多いとの認識を若者に与えているのかも知れない。
しかし、若者がこうした高齢医師を批判する時に、高齢の医者はエビデンスに基づく教育を受けておらず劣っているからだという意見が多いようだが、これは見当違いも甚だしい。医師はリタイアするまで勉強の連続を必要とする。医師が高齢だからエビデンスを無視するなんてことはありえない。もしいても個人の問題であり、高齢者が皆バカだ的な批判は暴論だ。むしろ、これを言う若者は一体どんな変な医者ばかりいる劣悪な環境で医業をしているのかを想像し可哀想になる。
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